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かな入力には乗り換えるだけのメリットがある? ⸺両方出来る様になって感じた事⸺

2024/02/27
日本語キーボードの画像

最初に結論

かな入力にしたからと言ってローマ字入力より速くなるとは限らない。好きな方で打て。ただ、僕はかな入力をやめない。それは慣れだけの問題じゃない。

こんな話をしていきます。ちなみに僕のかな入力は全然速くはないです。

かな入力を選んだ僕

僕は普段、パソコンで文字を打つ時かな入力をしています。

多くのパソコンはローマ字入力がデフォルトになっていて、世の中の95%くらいの人はローマ字入力をしていると思うのですが、僕はかな入力です。僕は仕事でかなりよくキーボードで文字を打ち、また音声入力もよく使うのですが、かな入力を使うのが一応しっくり来ているのでそれを使っています。

僕も学生の時にはローマ字入力でした。しかしローマ字で文字を打つことに疑問を感じる様になったため、かな入力に乗り換えました。

日本語を変なアルファベットでわざわざ表記する

理由の1つは変なローマ字を使わなければいけない事。liとかdhiとかです。これ気持ち悪いですよね?例えばティッシュとか。ティッシュは、カタカナで「ティッシュ」か、もしくは英語で“tissue”しか無いわけです。なのに日本語ローマ字入力だけ、“thisshu”。なんだこりゃ。こんな言葉はない。この、日本人が日本語を扱うにあたってそれを外国語由来のアルファベットに変換してからさらにそれを日本語として表示させると言うこと。割と細かいタチなので、ローマ字入力のこの辺り、ずっと気になっていたのです。

単打鍵で打てる文字の差

また、ローマ字入力は入力効率も悪いのです。仕事を始めたばかりの僕はもっと速く打てるようになりたいと思って乗り換えました。大抵の場合、ローマ字よりもかな入力の方が打鍵数が少ないので、単純なキーを打つ回数で考えれば、かな入力の方が有利なのは明らかなのです。実際、平均的にかな入力の打鍵数はローマ字入力の2/3程度と言われています。打鍵数が2/3なら速度はその逆数、つまり1.5倍になるはずです。しかし、そこまでの状態まで辿り着いたかは僕の中では疑問です。これにはかな入力の構造的問題が関係しているんだと考えています。前置きが長くなりましたが、僕が考えたかな入力とローマ字入力の問題点、ちょこちょこ語っていきたいと思います。

かな入力のメリットとデメリット

かな入力について語る時に、一番多くの人が使っているローマ字入力との比較は欠かせません。

かな入力のメリット

  1. 打鍵数が少ない。したがってたくさん打つ人であればあるほど、打鍵数が少なくて済む。習熟すれば、早く打てる。
  2. 直感的。キーに書いてあるかながそのまま出てくる(JISキーボードの場合。たまにかなが書いていないキーボードもあるけど…)。

かな入力のデメリット

  1. キーが広範囲に並べられている。これにより、ホームポジションから頻繁に指が離れる。
  2. アルファベットは別に覚える必要が有る。
  3. 数字・記号が直接打てない。
  4. 少数派

次以降で一つ一つのメリット、デメリットについて感じている事を書いていきます

ホームポジションから遠いキー

これを個人的には最重要課題だと思っています。僕はかな入力に慣れ切って5年は経ちましたが、これはどれだけ上手くなっても、ミスやペースダウンの原因になるのではないかと思います。「げ」「ぽ」「ぺ」など、濁点・半濁点が縦並びのものは難易度が高く、長音記号と組み合わせた「ポーチ」「ポール」などは難しいです。例えば「ゲートボールとポートボール」と、かな入力ですらすら打てる人がいたらその人はかなりの修練を積んだ人だと言えるでしょう。逆に、文字を打つと言うだけの事で、これだけスキルが求められるのも馬鹿馬鹿しいものだと思います。

英数字は別に覚える必要性がある

ローマ字入力はとりあえずアルファベットの一部からでも始められて、覚えたアルファベットはそのまま英文を打つのにも使えます。初心者に優しいです。

かな入力で覚えるキーの数は倍以上で、必要な練習時間は倍ではきかないと思います。特に既にローマ字入力をマスターしている人の場合、かな入力マスターにはかなりのガッツが必要になります。

数字・記号が直接打てない

多くの人が気にしているポイントだろうと思います。ただ、ローマ字入力中に半角英数字を打ちたくなった時は、どのみち変換が必要になる(数字は日本語入力中だと全角英数字で出てくるものと仮定しています)ので、この点では差はありません。また、かな入力中でもワンコマンドで変換ができるので、知らない人が想像するほど大きな差はありません。ただし、日本語の文中に全角数字・記号を使っている人の場合、余計な手間が一つ増えることになります。

かな入力は少数派

コンピューターを使うにあたり、少数派であることは大きなデメリットとなり得ます。 もちろん、悩んだ時、設定が分からない時に隣の人に聞いても分からない、という身近な事もデメリットでしょう。しかしこれはもう少し本質的な問題です。

以前の記事(FC2ブログ時代の旧ブログ、2017年)で、姫路城(ひめじじょう)を例に出して、かな入力は濁点がある文字を出すと、Google検索のサジェストが止まってしまうと言うことを書きました。ローマ字入力では、姫路城と打つときに、「ひめじし」となる瞬間がないため、「ひめじし」まで打った時点で、姫路城の検索候補は消えてしまっていました。しかし、スマホで入力をしている人が増えたためか、そのような事は今はありません。

ただ、例えばiPhoneのキーボードで入力をしていると、濁点をつけなくても予測変換をしてくれることがありますが、Macではありません。これはつまりMacでは、ほとんどの人が、ローマ字入力をしているから、と言うことの表れでしょう。

結局、便利な機能はみんながよく使っているところから開発されていくので、かな入力ユーザーは新機能の恩恵になかなか浴する事ができない可能性が有ります。これが少数派である事のデメリットです。

こんな所でしょうか。私はかな入力をしていますし、ローマ字入力に戻るつもりもないのですが、これらは無視できない問題です。

番外編 優勝と準優勝がローマ字入力

ここから先は、一般人には本当にどうでもいいことなのですが、タイピングにもやはり大会というものがあります。大会上位勢の打鍵は本当に凄まじいものです。動画はこちらです。

これで見てみると、かな入力勢の比率が一般社会より多く、かな入力の強さがうかがえます。しかしながら、僅差ではあるもののかな入力勢のうち勝ち進んだ選手も準決勝で敗れ、決勝進出者はいずれもローマ字入力でした。1人なら怪物がたまたま1人居たで済むのかもしれませんが、決勝がいずれもローマ字入力とあってはかな入力が速く打てるということに疑問が生じると言わざるを得ない様に思われます。少なくとも僕の中ではそうでした。

一応補足として、この大会は正確性ルールという、打鍵数の少ないかな入力に不利な競技規則がありました。全体の95%は正確に打たないと、早く打ち終えても負け、というものです。そのためかな入力が有利ではない、というのもどこまで言い切れるか疑問な点はあります。実際、先に打ち終えたかな入力の選手が負けた場面もありました。ただ、でも例えばです。かな入力は打鍵数が2/3なのだと考えれば、これは100m走を、1人だけ66mでゴールにしてもらえる様なものと考えることができます。66mでいいと言われたら誰でもそちらを選びますよね。打鍵範囲が広いことを考えると、平坦な100m走対ちょっと凸凹の66m走という感じでしょうか。トップ層の大会で66mの選手が負けることはあり得ない様に思われます。でもルールによる修飾があるにせよ、決勝はどちらもローマ字入力。かな入力の打鍵範囲の広さと言う凸凹は、スーパープレーヤーの技術をもってしても小さくないのかも知れません。だってそう言う大会があるなら当然かな入力が優勝すると僕は思っていましたから!

スーパープレーヤーを一般人が気にする必要はないのですが、僕にとっては深く印象に刻まれたことでした。

かな入力はUSキーボードでは使えない?→使える

ちなみに、かな入力はUSキーボードで使えない、ということがデメリットなのでは?と考える人がいますが、これは間違いです。わずかな変更を伴うのみでかな入力ができる様に各メーカーが工夫しています。昔macはUSキーボードに無理やりかなを印字したものを作っていました。

例えば、PowerBook 100という昔のMacがそれに当たります。気になる方はこの名前を検索してみてください。画像が見られるのではないかと思います。

現在のMacやiPadでのUSキーボード選択時のかな入力はこの配列が元になっています。

Windowsでも同様、USキーボードしかない状態でもかな入力ができる様になっています。ただし、いずれでも「む」「ろ」「長音」といった端っこの方のキーはシフト側などに移動してしまっているのですが。USキーボードでのWindowsでのかな入力は、例えばこちらのサイトが詳しいです。

USキーボードで「かな入力」 - Macで楽しくお仕事

USキーボードで「かな入力」 - Macで楽しくお仕事

日本語入力を行う場合、通常は日本語キーボードを使うと思います。特に、かな入力をする場合(ローマ字入力ではなく、かな入力をする場合)は、日本語キーボードを使うと思います。しかし、USキーボードでも、かな入力をすることができます。WindowsでもMacでも出来ます。USキーボードで、かな入力を行う場合、キーの数が日本語キーボードより少ないため、独特の操作を行います。まず、かな入力モードと直接入力モードの切り替えは、日本語キーボードなら全角/半角キーUSキーボードでWindowsの場合Alt+'`/~'USキーボードでMacの場合Command+Space  (*1)これぐらいならまだよいのですが、一部のキーの配置が異なっています。VMwareFusionでWindowsを動かし、そこで日本語入力を行う場合に...USキーボードで「かな入力」

なお、ここではローマ字でもかな入力でもないもっと効率的な特殊入力方法は考慮していません。親指シフトや月配列とかいうものです。僕が考えるのは、特に何かをインストールしたりせずにどこのパソコンでもすぐに使い始められるものです。そうでないと結局なかなか広まっていけないと思いますので。ただ、今まで話してきたかな入力より、親指シフトの方がより効率的で、優れているのではないかと思います。僕はできませんが。

結局どういうこと?

僕はかな入力が好きですし、かな入力でこれからもポチポチやっていきます。結局それだけです。やっぱり「ころころ」とか「さらさら」を“korokoro”とか“sarasara”とか打つのはあり得ません。めんどくさすぎです。でも、今はみんなに「かな入力をお勧めするよ!」とは言わなくなりました。その最大のきっかけは、やはり上に書いたREALFORCE Typing Championshipですね。速いと思っていたらかな入力が負けてしまうのを目の当たりにしたわけですから。

とは言っても、かな入力で打てる様になると、ローマ字入力への戻りはなかなかないんじゃないかなと勝手に思っています。挫折している人もいるとは思いますが、でも、その人はかな入力を覚える前にやめたんだと思っています(完全に個人の感想です!)。やっぱり楽なんですよね。打つ数が少ないほうが。

結局長い話をまとめると、「打つ数が少ない方がいい」を重視する人はかな入力、「広い範囲で打ちたくない、Shiftキー使いたくない」を重視する人はローマ字入力、くらいの大雑把な分け方でいいと今は思っています。

僕は、かな入力の方がローマ字入力より楽です。ですが、長々と書いてきた理由から、無理に人には勧めないです。でもやれば誰でもできる様にはなると思っています。所詮日本人が日本語のひらがなの並びを覚えるだけですから。外国人だとしても日本語を打つなら関係ありません。外国人でかな入力の人も居ます。その人がキーボードを触る量にもよりますが、3ヶ月もすればストレスはほとんどなくなると思います。本当に、お好きな方をどうぞ。