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パリオリンピックセブンズ男子日本代表まとめ

2024/10/16

オリンピック!

しばらくXの方に投稿してたんですが、オリンピック全般の事や、大阪で観たあの試合を経て日本代表のみんながいよいよオリンピックに出て、全試合を観戦したので、感想をたくさん書きたかったので投稿しました。もう試合が終わって時間が経ってしまいましたが…。

ラグビーの前に、開会式について

開会式全部観ました!Xにもポストしましたけど、開会式はアバンギャルド芸術がふんだんに盛り込まれ、芸術を解さない自分が書くのも不適切かもしれませんが…さすがにやや長過ぎる様に感じました。でも東京の時も4時間くらいで、それは大体同じなんですね。

昨今の「多様性」への配慮というものが全方位的に感じられましたが、その後いくつかの批判が有ったのはご存知の通りです。

芸術の是非は僕には評価できません。が、単純に、会の時間が長ければ、折角の晴れ舞台を迎えたオリンピアンたちが最後まで楽しめないと思います。

開会式を運営した方々には申し訳ないものの、やはり肥大化が各種論争の遠因となっているのかなと感じてしまいましたね…。

でも、セーヌ川を船で渡る選手入場と、気球の聖火台は素敵でした👍

セブンズを観る環境の変化

実況なしが選べるNHKの配信は有能です。操作もしやすいプレイヤーで、受信料を集めて作られた巨大組織NHKの財力が遺憾無く発揮されています。便利なNHKの配信を見て受信料の元を取りましょう。

オリンピックの舞台ではセブンズらしくDJブースが有り、観客はとっても楽しそうでした。まあただ、楽しそうな人だけ映している可能性は有ります。大阪でもヤジを聞く機会はありました。心安らかにラグビーを観るならば、配信が一番なのかもしれません😣

最近のオリンピックでは、日本人の名前を日本語の順番(姓→名)で言ってくれて、それは嬉しい事です。本来当然の事だと思うのですが、かつての日本では欧米の基準に合わせるべきという考えがあったのでしょう。おそらくはIOCが、グローバリズムによる文化破壊の防止のため、各国の言語の習慣を優先する様に変更したのだろうと思います。最近は入場国の順序も、その国の辞書順ですから。実況の皆さんは、日本語の選手達の名前を発音するのが本当にお上手です!!

あと、サイモン・エイモーさんはSimon Daniel Edward Amorさんだったのですね。Wikipediaにはあるので日本のラグビーファンでも知っていた人はいたのでしょうけど、僕は今回初めて知りました。

1試合目 日本12–40ニュージーランド

それでは男子の大会の、各プレイを振り返ってみます。

転がすキックオフを日本は今シーズンたびたび見せているのですが、こういうプレーは相手の方がずっと上手うわてですね。かえってピンチを招きました。その後ディフェンスの穴を突かれてソフトトライを与えてしまいます。

日本の最初のトライは芸術的に良かったです!ケレヴィ選手のキックの軌道は完璧で、その後のコンバージョンもよく決めてくれました。ただ、試合として成立していたのは残念ながらここまででした。

日本はディフェンスをしようとしても、試合通じてハンドオフ一発で弾き飛ばされ、サイドステップ一発でかわされてしまいます。いいアタックをする機会も有りますが、カウンターラックを食らってボールキープができません。

常にトップカテゴリに居続けているニュージーランドのキックオフ技術は恐ろしく正確で、キックオフを取ることもほとんどままなりません。

後半も結構チャンスは有り、例えばロングスローが有ったのですが、その正確性は高いものでした。また、石田吉平選手の独走も有りました。アジアだったらトライだったかもしれません。でもニュージーランドの守備は固く、圧倒的な高い総合力を感じました。

日本の後半ラストプレイのトライも難しいキックを通す質の高いものでしたが、点差が近かったら相手が試合を切っていたのだろうと思うと単純に喜べない部分がありました。

この試合のレフリーはロコヴェレニさんというフィジーの方でした。考えてみれば僕が知っているフィジー人の方は全員ラグビー選手なので凄まじく脚が太い人ばかりですが、ロコヴェレニさんは脚が細かったです。ホントどうでもいい事なんですが何となく違和感を覚えてしまいました。フィジー人は全員脚が太いと脳にインプットされていた様です…。

2試合目 日本5–40アイルランド

開始早々レフリーの脇を走られ失点して鬱でした。多分このプレーは世界トップレベルでは常識なのでしょう。日本もレフリーの脇を走り抜けよう!

この時トライしたのはケネディ選手で、大会屈指のとんでもなく俊足な選手だったのですね。前から見た事は有りましたが、これで今回完全に名前を覚えました。

ただ前半、日本はそれ以降の時間は粘り、ケレヴィ選手のドミナントタックルで攻撃の芽を摘んだりして良かったです。

前半残り1分くらいまで0–7で勝負になっていて、相手陣地付近でアタックをしていてこの辺までは試合として面白かったのではないでしょうか。ただゴール前のパスミスで好機がふいになってしまったのは残念でした。ここは厳しいながらもアンフォーストエラーと言わざるを得なかったシーンでした😖

この後ケネディさんに走られて、そこからは立て続けの失点となります。それなりにいいアタックをしても人の多い所に突っ込むとドミナントできていないためターンオーバーされてしまいます。

後半終盤の日本のトライに繋がったアタックはとても良かったです。野口選手のキックと石田大河選手のチェイス。その後の全員でのアタックも素晴らしかったです。でもその後またフィジカルで敗れあっさりトライ献上してしまう展開…。

とにかくケネディさんは完璧に覚えてアイルランド戦は終わりました。

3試合目 日本5–49南アフリカ

ドレッドヘアのこのスペックマンさんって人何かセブンズの世界にずっと居ない?と思ったらリオの時の人と同じ人だったんですね。当時は3位決定戦でボッコボコにやられた!今回は10分ハーフでもないのに似た様な点差😭

奥平選手のインターセプトはfast & braveを体現するプレイでしたがボールはその後守れず。でも以前のチャレンジャーシリーズよりもこういったスキルは成長を感じた部分でした。細かいスキルは上がってはいるんですけどね…。

転がすリスタートキックであっさりトライ献上。日本がニュージーランドに仕掛けた時には通用しなかったこのプレイ。こういったシーンはもう身体能力の差ということになってしまうのかな…。その後もループ一発やターン一発で抜かれてしまったり。

後半入ってからのアタックは結構良くて、我慢強さを感じました。ただ、ペナルティから速攻できないのが相手から見ると楽だったはずです。疲れも有るのかな…。

植田選手のトライは良くて、ファンブルがチャンスになったパターンでしたが、何とかインゴールでトライさせまいとする相手選手は本当に凄い。南アフリカはこの後銅メダルを獲得するのですが、やはり強いチームはディフェンスがまるで違います。

ただやはり、得点できたのは大きくて、後半だけなら5–14。とにかくセブンズで重要なのはアタック時間を延ばしてトライする事なんだよなと改めて実感した試合でした。

4試合目 日本7–42サモア

今までの試合とほぼ同じ様に、シンプルなアタックで抜かれてしまう展開でした。また、いいアタックをしてもやはり急所で潰されてしまいます。SVNS下位勢とはいえ、ずっとコアチームだから上位勢と戦えるだけの力は持っています。日本がチャレンジャーシリーズで勝てなかったケニアも、サモアは26–0で下しているのですから。

ただこの試合も、ディフェンスで上手く相手を下げさせたシーンとかは有りまして、それは良かったです。その後トライも出来ました。

前半の折り返しは7–14で、逆転の可能性の残る勝負。でも後半最初に得たスクラムをウェイストオブタイムで無駄にしてしまってからは一方的な展開となりました。ここが入っていれば違う未来があったんじゃないかと思えてしまいましたが…結局前半の奮起が嘘の様な7–42で敗戦。

その後、準々決勝4試合を観ました。全試合熱戦で、セブンズの面白さが詰まっていました。最終戦のオーストラリア対アメリカこそ点差が少しついたものの、やはり僅差のセブンズの試合は単純に面白いです。ここに来ている選手達は本当に超人ばかりだと感じました。

5試合目 日本10–21ウルグアイ

開始10秒でシンプルなムーブにやられる辛い展開。また、ジャッカルがクレバーなウルグアイに、ボールを奪われるシーンも出てしまいます。

そして外のトライも正確に7点にしていくコンバージョンの上手いウルグアイ。

日本の2トライは良かったですがいずれも完全にペナルティからなので相手を崩した感じはあまり無く、もちろん素晴らしいのですがワクワクする攻撃には至らない印象でした。

津岡選手の足はやはり早かったし、そこは通用していましたが、単発に終わり得点には繋げられませんでした。

ケレヴィ選手のイエローも重くのしかかった部分は有ったかも知れません。正直よく分からないオブストラクションのコールや、タフなジャッカルでのオフフィートのコールも有りましたが、そう言った難しいジャッジが無くても力の差は覆しにくいものだったかと思いました。

後、アイルランド戦から学んだからかレフリーの脇を攻める作戦が一回有りましたが残念ながら上手くいかず😅

決勝

決勝も終盤は点差がついたものの、途中まで全く分からない展開でした。本当に面白かった。

前半はフランスに対してタフなコールが多く、猛烈なブーイングが有りました。一方、後半からはジャッジがフィジーにとってタフなものに変わっていった気がします。流れが前半はフィジー、後半は圧倒的にフランス、と変わって、レフリーのジャッジもそれを後押しするかの様な不思議な感覚を受けました。

そして、もうあちこちで言われまくっていて今更ですが、デュポンさんは本当に神がかりの活躍でした。

とにかく、フランス代表、オリンピック7人制ラグビー初優勝おめでとうございます!

日本代表について思った事

日本のアタック

日本はいいアタックを見せるシーンが何度も有りましたが、結局ターンオーバーになる事が多かったです。ラックを作れないのは何故なのでしょう。カウンターラックを仕掛けられてもいない段階でブレイクダウンからボールを放り投げ相手ボールとなったシーンは、いくらなんでも相手を恐れすぎなのではと流石に思ってしまいました。アジアシリーズやチャレンジャーシリーズとはレベルが違うのは分かりますが、それでも相手も人間なのですから…。

でもアタックでボールを継続できない事には、画面には映りにくい有形無形のプレッシャーが原因として有るのかも知れません。僕には分からないものがきっと有るのでしょう。

日本のディフェンス

身体能力差は如何ともしがたく…相手が少し広いスペースでボールを持ったらほぼトライでした。ウルグアイ戦のみ少し我慢できましたが…相手のシンビンに助けられた点も有り、これも実際には点差以上に力の差は大きく感じました。

日本国内で世界レベルのアタックを受ける経験が無いので、結果世界レベルのディフェンスを育てる事もままなりません。

叩く気は起きない

やはりオリンピックの注目度は高いですからセブンズを普段観ていないであろう人にも叩かれます。

僕も全試合完敗は、事前に予測していたとは言え寂しさを感じるものでした。ですが叩く気は全く起きません。チャレンジャーの日本代表戦全試合を観ていますから。日本の現在地はよく分かっていました。オリンピックでは全く歯が立たないであろう事も。

5月のチャレンジャーミュンヘン大会よりは、遥かに選手のパフォーマンスは上がっていました。それだけでも個人的には拍手です(単なる外野の分際でデカい顔をするなと言われてしまうかも知れませんが…)。

素晴らしい勝利を見届けるには我慢が必要と言いますか…負けに慣れ過ぎたかも知れませんが、別にそれでも問題無く試合を観られる様になってしまいました。これは多分、良い事でしょう。15人制の日本代表のファンを長年続けている人達もきっとそういう時期があったのではないでしょうか。

国内セブンズシリーズ構想と経済

強化構想として、国内でセブンズシリーズを行なっていくというものが有ります。構想はずっと有るはずですが実現はしていません。各地方でセブンズの大会はいくつかは行われているわけですから、それをまとめればできない事はなさそうです。また、セブンズメインでやっているラグビーチームもいくつかは有るはずですからそれらの中で全国サーキット大会に出たいと考える所も有るかもしれません。が…そのスポンサーになってくれる企業があるのでしょうか。僕もそれらの大会を全て観に行くのは難しそうです。観に行くファンが居なければ成り立たなさそう。何しろ、セブンズは一大会通しで観るのは週末が完全に潰れますし、本当に大変なものですからね!

そう考えると地道に続いている太陽生命ウィメンズセブンズシリーズって本当に凄い大会だと思います。そしてこの大会の存在は確実にサクラセブンズの強化に結びついています。

男子セブンズはお金になりません。もしもオリンピックで金メダルを取ったとしても、一定の賞賛は有るでしょうがそこからCM出演等を経ての人気スポーツ選手になれるかは疑問です。それは女子セブンズも同様です。それこそオリンピックなら三連覇位はしないとそこまでの状況にはならないのではないでしょうか。

僕もセブンズをプレイした経験はゼロではない(生涯プレイタイム2分!!)という程度で、やはり多くの日本のラグビーチーム(男子)は15人制を中心にプレイしているのではないでしょうか。そう考えるとやっている人の数が少なく、そして企業オーナーの様な偉いOBの数(つまりチームにお金を投じてくれる様な)もそれに応じて少なくなります。裾野が狭ければ、山が高くなるとは思えないのです。

あまり儲からない、何ならマイナスになるものを、「貴方は日本代表でしょう!メダルを獲りなさい、歯を食いしばって頑張りなさい!」とは僕には言えないです。

他のスポーツの強さを考えると…

ただ、オリンピックで日本の様々な、本当に様々なスポーツが大活躍しているのを見ると、ラグビーもいけるのでは、とつい思ってしまうんですよね。そこはちょっと、羨ましいなとは思ってしまいます。

まとめ

結局セブンズは観ていて本当に楽しいです。強化の程度が1であっても0.1であっても、絶やす事なく種を蒔き続けていればいつか大輪の花を咲かせる日が来るかも知れませんが、0にしてしまえば完全にその可能性は消えます。いつかセブンズの強化が進む日を夢見て楽しく応援します。まずは日本代表は来たるアジアシリーズで2位以上に入り、セブンズチャレンジャーに出られる様頑張って下さい👍